いらっしゃいませ
風景画家の先駆者の一人と見なされている15世紀「初期フランドル派」の画家、ヨアヒム・パティニ-ルによる「スティクス川を渡るカロン」は、私の絵画制作の上での手引きとなっています。
私の作風は、現代的な風景表現の一つです。水、空、崖、山、城、都市を通じて、広大な世界における時代を超越した人間の進歩という概念に導かれています。
画題の描写から解放されるために、そして光やマチエールの表現と向かい合うために、私はこのシリーズに取り組むことにしました。
画題に取り組めば取り組むほど、画題は消滅に向かっていきます。それは、画面上からは完全に消えてしまうのかもしれませんが、常に現実または私の空想の中に存在しているでしょう。抽象化は物語になり、誰もが自分の物語に身を任せることが出来ます。
私の絵画制作は技法の選択からも成り立っており、15世紀にイタリア人画家が使用していた、卵を使ったテンペラ画法で制作されています。
私にとって絵画の修練は、描く幸せを感じながら探求する無限の追求です…。
パスカル・ヴィネ